人間は噛むことで、脳を発達させてきました。脳が発達することで、言葉が生まれ、文化が生まれてきたのです。つまり、噛むという行為が、人間を進化させてきたということなのですね。
子どもたちの脳の神経は、10歳くらいまでに作られます。脳神経の発達を促すためには、脳がさまざまな刺激を受けることが大切です。カラダを動かす、いろいろなものを見る、聞く、味わう、臭いを嗅ぐ。この中でも、食事をして味わうこと、そして噛むという行為をすることで脳は発達していきます。噛むことによって脳の血流量が増加し、大脳が刺激され、それにより大脳皮質が発達して大きくなるのではないかと言われています。
また、噛むことで、歯ざわり、歯ごたえなど、触覚にも影響を与えるのです。さらに、噛むことは、脳を発達させるだけでなく、頭やあごの骨、顔の筋肉を発達させ、豊かな表情を作ることにもなります。
3歳になれば、上下の歯もしっかりと噛みあうようになり、噛む力も出てきます。この頃に大人と同じ食事でも食べることができるようになります。噛むことで、食事がよりおいしく食べられる、歯や歯茎が発達する、言葉の能力が向上するなど、良いことばかりです。
また、噛むことで唾液が出てきます。この唾液にも良いことがたくさんあります。唾液が出ると、食べ物を飲み込みやすくしてくれますし、食べ物の味わいを高めてくれます。また、唾液が様々なホルモンの分泌をうながし、皮フや歯、胃や腸、血管などの細胞を増やしたり、神経の成長を助けてくれたりします。この他にも、細菌を抑えてくれたり、細菌に抵抗してくれたりもします。
子どものカラダを作るには、とにかく栄養を摂らなければいけないのですが、噛まずに丸飲みしてしまうと、タンパク質などはほとんど吸収されません。お肉を丸飲みしてしまうと、カドが丸くなるくらいで、ほとんどそのまま出てきてしまいます。何を食べさせても、噛まなければ、そのままカラダを通過しているのと同じことなのです。
食べ物を自分の血や肉にするのには、どうしても噛むということが必要になります。また、噛まないと食べ過ぎてしまうことになって、肥満の原因ともなります。
このように噛むことの大切さがおわかりいただけたら、とりわけこの時期のお子さんには意識的に噛んで食べる食事を作ってあげてください。 |