深刻になる前に助けたい・・・ 「介護うつ」について考える

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   敬意を表すとともに心よりお見舞い申し上げます。
PTSDなどのストレスケアに」ついて

最近、介護をする人の身体的、
心理的な労苦にかかる話題を多く耳にするようになりました。
介護に携わる人であれば、それが身内であれ他人であれ、仕事であったとしても、
そこに悩みや問題が生じる可能性は高く、
その中でも「介護うつ」にまつわる話題は多くなっています。

介護に携わるうちに抑うつ症状を呈するようになり、
活力が失われ無気力状態、ひいては自死の選択に至ってしまう場合があります。
当事者ばかりでなく、周囲の関係者にも大きな影を落とす結果となり、
今後ますます社会的にも深刻な状況になっていくとも言われています。

今回は、心理カウンセリングの現場で聞かせていただいた「介護」にまつわる話の中から
「うつ」に関連する幾つかを紹介し、考えていることを書いてみようと思います。


●「介護うつ」にまつわる事例
PTSDなどのストレスケアに」ついて Case1 母の介護に疲れ「うつ」になった妻を持つ男性の話。

その男性は妻が40歳になろうとする頃、
故郷で一人暮らしをしていた母親を呼び寄せた。

妻は持ち前の明るさで母を歓迎してくれた。
家庭の中に問題はなかったが、田舎で育った母親は
都会の暮らしに馴染めなかったのか、家に閉じこもりがちになっていった。
数年後、身体も不自由になり自宅での介護が始まった。
障害を抱えてしまったことから、母親は不満や怒りを家族にぶつけるようになった。
そんな母親に対して、妻はいつも明るく献身的に尽くしてくれた。
辛いそぶりを微塵も見せない妻の存在が彼にとって救いであった。

9年が経過し、上の子どもが社会人になり独立した頃、
力なくたたずむ妻の姿が気になることがあった。心配になり声を掛けると、
いつもと同じように明るい返事がかえってきた。
それから数か月が経ち、突然、無気力状態に陥った妻を連れて
メンタルクリニックを訪れることになってしまった。
何故それまで気づいてあげられなかったのだろう、
まかせっきりにしていたわけではないのに、これからどうすればよいのだろう…。
PTSDなどのストレスケアに」ついて Case2 両親を一人で介護し最期を看取った女性の話。

40歳代半ばで、不自由な身体と認知症を抱えた両親のために
残る人生を送ろうと覚悟を決めた。
会社を辞め、コミュニケーションもままならなくなりつつある両親と
向き合う日々が始まった。

介護の技術を学んだもののそれだけでは足りず、試行錯誤を繰り返した。
思うようにならないことに苛立ち、なさけなくなり、途方に暮れる。
孤独感にさいなまれ、絶望の淵に立たされたような経験をしながら、
気がつけば15年が過ぎていた。父を看取った2年後に母が逝った。
「どこのどなたか存じませんが、お世話をかけました」という最後の言葉が耳に残る。
半生を捧げた「仕事」が終わるとともに襲ってきた虚無感。
「終わった」という満たされた感覚もわずかにあったが、
心の中にぽっかりと穴が空いてしまったようだった。
その感覚がしばらく続いた後、自分が抑うつ状態で数年を過ごしてきたことに気がついた。
坦々と過ごす毎日の中で感情が動くことはなくなり、
見えるものの色彩は失われ、単調に時が刻まれる。
そんな世界に彷徨い込んでいた。このままではいけないと思い外へ出た。
そこには明るい青い空が広がっていた。
これからは自分自身を取り戻すために生きようと思えた瞬間だった。
PTSDなどのストレスケアに」ついて Case3 年老いた母親を気遣う女性の話。

母親が50歳代半ばから祖父の介護が始まった。
祖母が亡くなってからほどなく、祖父は徐々に体が思うように動かせなくなった。
父親と母親がそんな祖父の面倒をみ続けていた。
入浴や排便は父親が担い、汚物の洗濯や食事の世話は母親が行った。

当時20代後半、娘として洗濯くらいは手伝わせてもらおうと申し出ると、
母は頑として受け入れない、これは私の仕事だからと。
両親は当時家業を営んでいた。
だから、その合間を縫っての介護には頭がさがる思いだった。

7、8年後、祖父は他界した。その間母親は、坦々と「自分の仕事」として祖父のため、
家族のために日々を送っていた。
それから十数年、父に先立たれ、子どもたちとも離れ一人になった母親。
気丈な人生を送ってきたが、80歳を超える年齢とともに衰えは隠せない。
今は思うように動かない自分の身体を嘆くようになった。
その母親を思う自分も気がつけば50歳半ば。
自分自身の体力に不安がある中、どこまでできるだろう、
覚悟はできているのだろうかと、やらなければと責任を痛感しながら自問する。
気がつけば気分は重く、憂うつな日々が続いている・・・。

ここに紹介した話の中には、
介護に伴う「うつ」というテーマが含まれています。

もっと深刻な結果になってしまうこともあるでしょう。
程度の差として比較するならば、深刻なものとさほどではないものという言い方ができるかもしれません。

しかし、当事者と周囲の方々、それぞれがどれほどの苦悩に向き合っているのか、
その人の人生に思いを馳せると、単純に比較できるものではありません。
それぞれがその時々、できるだけのことをしてきたのではないかと思うのです。
「うつ」を予防するために、「一人で背負い込まないようにすること」とよく言われます。
正しいことを言っているとは思いますが、すべてに当てはまるわけではありません。
自分で責任をもってしっかり背負い込んでやろうとすることが
モチベーションにつながり「うつ」に陥らずに済んだということもあるのです。
それ故に、簡単に「こうすれば『うつ』は予防できる」などとは言えなくなってくるのです。

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