なぜ副作用が起るの? |
「副作用がない薬はない」と、よく言われますが、これは残念ながら本当です。そもそも「副作用」とは、その薬が持つ作用のうち、本来目的としている作用以外のものをいいます。ですから、必ずしも「副作用」=「悪いもの」というわけではありません。
逆に、「副作用」と呼ばれる作用を利用して、治療に役立てる場合もあります。大切なのは、害になる作用をできるだけ出さないようにすることです。そのためには薬の性質をよく知る必要があります。
副作用が起こる理由 |
- もともと色々な作用(良いものばかりとは限らない)を持つ薬が多い。
- 治療の役に立つ作用であっても、強く出すぎれば害になる。(薬の量が多すぎたり、使用法を誤った場合など)
- 使用する人の体質により、薬の作用が強くなったり弱くなったりすることがある。
- 飲み合わせによって、薬の作用が変化することがある。
- 過敏症やアレルギー反応は、どんな薬でも(添加物も含む)起こる可能性がある。
薬の使用量や、使用回数などは、「病気や症状の改善に効果が出る量や回数で、なおかつ副作用は出にくい」ように研究されて決められています。ですから、薬にはたしかに副作用はつきものなのですが、正しい使用法を守っていれば、重大な副作用はめったに起こるものではありません。
副作用を防ぐには? |
どんな薬でも、良い面(効果)と悪い面(副作用)を持っています。ですから、使わなくて済むのであれば、もちろんそれに越したことはありません。ムダな薬の使用は避けるべきです。
では、「薬が必要なとき」というのは、どういう場合を言うのでしょうか?
病気の治療方法を検討するときに、専門家は、次のようなことを考えます。「その治療をすることで、患者さんにとって、どのくらいプラス面とマイナス面があるのか」「他の治療方法(もしくは、全く治療しない)を選んだときは、どうなるか」大切なのは、この2点です。
副作用を起こさないために、また最小限におさえるために、自分でできることをあげてみます。
正しい服用方法、注意点を守る
基本中の基本ですが、薬の服用方法は、意外にわからないこと、不安なことが多いものです。医師や薬剤師に遠慮なく質問しましょう。
薬の効果と予測される副作用について知り、服用中は体調の変化に注意
体調の変化には、いろいろな原因があります。薬によるものかもしれないし、病状が変化したのかもしれません。薬を飲み始めるときには、どんな症状が起こる可能性があるのか、医師や薬剤師に確認しておきましょう。命にかかわるような副作用の可能性があったとしても、初期の軽い症状のうちに発見できれば、危険性を回避できます。
重大な副作用と初期症状 |
ここでは、特に注意が必要な副作用についてとりあげています。これらはめったに起こるものではありませんが、起きてしまった場合、放置しておくと生命にかかわる場合があります。軽い症状(初期症状といいます)のうちに発見し、対処することが大切です。
| 副作用名 |
初期症状 |
症状に気づいたら |
| ショック
(過敏症) |
皮膚のかゆみやじんましん、気分が悪い、息が苦しい、くちびるや手足がしびれる、顔が赤くなったり熱くなるなど(薬を服用して20〜30分以内に起こることが多い) |
薬を中止して、急いで救急処置が可能な病院へ。 |
| 重い肝障害 |
発熱(38〜39℃)、食欲がない、吐き気がする、気分が悪い、全身がだるい、体がかゆい、ぶつぶつが出る、白眼や皮膚が黄色いなど |
薬を中止して、できるだけ早く病院で診察を受けましょう。 |
| 急性腎不全 |
顔や手足がむくむ、尿の量が減る、尿の色が赤くなる、発熱、吐き気がする、関節が痛む、腹痛など |
| 再生不良性貧血 |
発熱、のどが痛む、歯ぐきや鼻などから出血しやすい、手足に赤いあざや斑点ができる、全身がだるいなど |
| 横紋筋融解症 |
手足に力が入らない、手足のしびれやこわばり、全身の筋肉が痛む、全身がだるい、尿の色が赤褐色になるなど |
| 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) |
発熱、頭痛、関節の痛み、口の中や眼の粘膜などに水ぶくれができる、皮膚がまだらに赤くなるなど |
中毒性表皮壊死症
(Lyell症候群)
|
発熱、皮膚がまだらに赤くなる、やけどのような皮膚の症状(痛み、水ぶくれ、熱く感じるなど)、口の中があれるなど |
| 低血糖 |
気持ちが悪い、急に空腹感を強く感じる、頭が痛い、寒気がする、ふらついたり、力のぬけた感じがする、頭がぼーっとするなど |
すぐに砂糖やブドウ糖などを食べ、症状が良くならなければ、医師に連絡して指示を受けましょう。 |
他の医療機関で薬をもらうときや、違う病気で薬をもらうときなどは、今飲んでいる薬(市販の薬や健康食品も含みます)を全て報告しましょう。飲み合わせによって起こる副作用をさけるために、大切なことです。
薬と食べ物の飲み合わせの影響 |
飲み合わせには、薬同士で起こるものと、薬と食べ物・飲み物との間で起こるものとがあります。どちらも、薬の吸収や代謝などに影響し、どちらかの薬の作用が強くなったり弱くなったり、あるいは両方の薬の作用が合わさって強く出たり、ということが起こります。飲み合わせについては、薬を使う前に必ず確認しておきましょう。とくに、何種類か薬を飲むときや、市販薬を常用しているとき、健康食品などを飲んでいるときなどは注意が必要です。
薬に影響することがある食べ物・飲み物の例をあげておきます。ただし、これらの具体的な影響については、個々の薬によって異なりますので、詳細は医師・薬剤師にご相談ください。
なお、食べ物・飲み物ではありませんが、タバコは、薬によっては作用に影響することが知られています。
<納豆>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| 抗血栓剤(ワルファリンカリウム) |
納豆についている納豆菌は、腸内でビタミンKを産生します。このビタミンKが、薬の作用を弱めることがあります。ワルファリンカリウムの服用中は、納豆はできるだけ避けたほうがよいでしょう。 |
<牛乳>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| 抗生物質(セファレキシン、テトラサイクリンなど)、抗真菌剤(グリセオフルビン) |
薬の吸収が良くなったり、悪くなったりすることがあります。大量に飲まなければ、問題ない場合もありますので、確認しましょう。 |
<コーヒー・紅茶などのタンニンを含む飲み物>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| 鉄剤 |
お茶と鉄を同時に飲むと、鉄の吸収が悪くなります。でも、鉄剤の種類によっては影響を受けにくいものもあるので、確認しておきましょう。 |
<グレープフルーツジュース>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| カルシウム拮抗剤(ニフェジピンなど)、抗アレルギー剤(テルフェナジン)、免疫抑制剤(シクロスポリン)、睡眠剤(トリアゾラム) |
そのしくみはまだ十分にわかっていません。また、グレープフルーツの果実そのものによる影響は、今のところ報告されていませんが、全く影響がないとは言い切れません。 |
<魚(イワシ、カジキ、マグロなど)>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| 抗菌剤(イソニアジド) |
このような魚は、ヒスタミンというアレルギー症状の原因物質を多く含んでいます。イソニアジドは、ヒスタミンの代謝を妨げるため、ヒスタミンが体に蓄積してアレルギーのような中毒症状(頭痛、悪寒、顔が赤くなるなど)が起こることがあります。 |
<お酒(薬の中にアルコールが含まれていることもあります)>
影響が考えられる薬
(代表的なもの) |
どんな影響がある? |
| 多くの薬に影響します。 |
薬の代謝に影響し、作用を増強したり弱めたりします。思わぬ副作用(例えば、急性アルコール中毒など)を招くこともあるため、注意が必要です。薬をお酒で飲むようなことは、絶対にやめましょう。 |
使用した薬について記録をとっておく |
特に、副作用を経験した薬については、薬品名や、できればどんな症状が起こったかを記録しておき、医療機関を受診するときや薬を買うときには必ず伝えましょう。 |