女性と薬

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「女性と薬」
 妊娠中は薬を飲んではいけないの?

妊娠中の女性がつわり治療薬サリドマイドを飲んだ結果、「アザラシ症」と呼ばれる手足の短い赤ちゃんが生まれたというニュースをきっかけに、「妊娠中に薬を飲んでも大丈夫か」という問題が大きくクローズアップされるようになりました。

妊娠中の女性の体内では、とても複雑な変化が起こっています。赤ちゃんを守るために、いろいろな臓器の働きが健康な人に比べて弱くなりがちです。ですから妊娠中に薬を飲むと、妊婦自身の体には、普通のときより副作用が強く出てしまうことがあります。

また、妊婦自身への影響以外に、胎児への影響があることも確かです。薬によっては、胎児に重大な影響を与えるものもあります。とくに、妊娠初期(妊娠2〜4ヵ月)の間は、おなかの赤ちゃんの形や臓器が作られる時で、薬の影響をいちばん受けやすい時期なのです。また、この時期を過ぎても、出産までは多少とも薬による影響が胎児にはあると考えた方がよいでしょう。

しかし、薬の副作用や胎児への影響をあまりにも心配しすぎて、慢性疾患(糖尿病や心疾患など)で以前より飲んでいる薬や妊娠中毒症の薬、便秘の薬など、必要な薬を飲まずに妊婦の健康を損ねたのでは大変です。妊婦が何も薬を飲んでいなくても、なんらかの奇形をもって生まれてくる確率は全体の2〜3%あると言われます。

薬を飲むことによる利益と、妊婦・胎児への影響を的確に判断することが重要です。この判断を自分ですることはとても難しいので、自分自身の判断で薬を飲んだり止めたりせず、医帥あるいは薬剤師に相談することが大切です。また、すでに飲まれた薬の胎児への影響が心配な方は、なるべく早く産婦人科の専門医に相談しましょう。

 授乳中は薬を飲んではいけないの?

授乳中に母親が飲んだ薬の成分は、消化管から吸収されて血液中に入り、母乳中に移行します。この母乳を赤ちゃんが飲むことで、薬の成分は赤ちゃんの体の中に入っていきます。これは、薬を必要としていない赤ちゃんに薬を飲ませているのと同じことなのです。この薬の母乳中への移行は、個々の薬の性質により違いがあり、全く移行しないものから、逆に濃縮して母乳に移行するものまであります。

乳児は1日500〜1,000mlもの母乳を飲みます。赤ちゃんの解毒機構や排泄機構は、大人ほど十分ではありませんし、生後1週間以内の新生児では、飲んだ母乳を代謝する能力が不十分です。

さらに、薬に対する感受性が高いので、母親が飲んだ薬が、赤ちゃんに思わぬ障害を与えてしまうことになりかねません。授乳中に、乳児の体の中に入ると悪影響を与える薬をどうしても母親が飲まなければいけない場合は、薬を飲んでいる間だけ授乳するのをやめれば、赤ちゃんに問題はありません。

ご自分が今飲んでいる薬の母乳中への移行については、医師あるいは薬剤師に相談しましょう。大衆薬を購入されたり、医療機関を受診なさる場合は、授乳中であることを必ず医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。

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