
2006年度改定では、コンタクトレンズを取り扱う眼科もターゲットになりました。コンタクトレンズを作る患者さんについては、一生に一度しか初診料をとることができなくなりました(通常は、最後の受診から1ヶ月以上空けば初診として扱うことができる)。一回どこかでコンタクトを作って受診している人からは永久に初診料を取ってはいけないというルールです。また、コンタクトを作る時の検査料も大幅に引き下げられ、収入が激減した眼科がバタバタつぶれています。患者さんにとってみれば、コンタクトを作る料金が下がるわけですから、一見いいことのようにみえます。ですが、コンタクトの検診をやっても利益が出ないからと多くの眼科が検診をやめてしまったら、これまでは検診で早期発見されていたコンタクト利用者の目の病気が見つからなくなり、気がついた時は重症になっていた・・・などということにもなりかねません。
診療報酬には、「出来高払い」と「包括払い」という2つの支払方式があります。
出来高払いは、初診、検査、投薬といった診療行為ごとに設定された価格(診療報酬)を合算して支払う仕組みです。これに対して包括払いは、「1日当たり」「1月当たり」などで設定された定額の診療報酬を支払う仕組みです。
診療行為が多くなれば多くなるほど支払額が多くなる出来高払いに対して、包括払いは、いくら検査をしようが、薬を出そうが決まった額しか支払われないという点が両者の大きな違いです。国は医療費をできるだけ少なくしたい訳ですから、当然ながら包括払いの対象となる診療行為をどんどん増やそうとしています。大学病院の入院医療については、病気の種類ごと定められた定額の診療報酬を支払う仕組みがすでに導入されています。例えば、あなたが盲腸になって大学病院に入院した場合は1ヶ月(実際は1日当たりの定額報酬)30万円しか払いませんよというパッケージの料金なのです。そのパッケージ料金が適正に決められていればいいのですが、もしそうでないとすれば、できるだけ検査をさせず、早く退院させるようにしなければならない病院が現れかねません。つまり“手抜き診療”が起こりかねないわけです。もっと困るのは、盲腸のパッケージ料金を例にすると、軽症な患者しか受け入れられず、重症な盲腸患者は敬遠されるということになりかねないということです。これは悪い例ですが、きちんと検査をし、丁寧な診療をする、患者さんの立場から見ればいい病院が定額報酬のせいで赤字になり、経営が立ちゆかなく恐れもあるわけです。現在、こうした仕組みの対象は主に大病院ですが、国はこれを一般の病院にまで拡大しようと考えています。診療所についても、確実にこの方向に向かっています。
[2007.11.27公開]

医師/簡野晃次
医療法人社団 友輝会 エルクリニック 理事長
医療法人社団 若草会 横須賀中央眼科クリニック 理事長
医療法人社団 スペクトラム会 東京血管外科クリニック CTO
―経歴―
昭和63年3月:日本医科大学卒業
昭和63年6月:日本医科大学付属病院形成外科入局
平成7年6月:西新井皮膚科形成外科院長就任
平成18年10月:医療法人社団友輝会エルクリニック理事長
平成19年4月:医療法人社団若草会横須賀中央眼科クリニック理事長
平成19年6月:医療法人社団スペクトラム会東京血管外科クリニックCTO