居住に由来する数々の健康障害
シックハウス症候群という言葉はよく耳にするけど、その症状や原因についてはほとんど知らないという方も多いと思われます。そこで、まずは「シックハウス症候群」の定義から見てみましょう。
2003年に厚生労働省が開催した「室内空気質健康影響研究会」によれば、「シックハウス症候群は、医学的に確立した単一の疾患ではなく、居住に由来する様々な健康障害の総称」のことであり、主な症状として「皮膚や眼、咽頭、気道などの皮膚・粘膜刺激症状。全身倦怠感、頭痛、頭が重いなどの訴え」が多く現れているとのことです。
すなわち、シックハウス症候群とは、ある特定の部位・症状・要因などが確定している一つの病気ではなく、ある建物・環境で生活することにより起こる病気・症状の数々をまとめて示している言葉なのです(いまだ定義されていない言葉ともいえます)。
発症因子として、化学物質を有力視
シックハウス症候群の発症因子はまだはっきりと分かっていませんが、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)が建材から発せられているためと有力視されています。そのため、2003年7月に建築基準法が一部改正され、ホルムアルデヒドの使用制限(指針値として0.08ppm)や防蟻材のクロルピリホス全面使用禁止が決められるとともに、ホルムアルデヒド発散建材の使用面積に応じた換気設備の設置が義務付けられるなどしました。
ただしシックハウス症候群に見られる症状を起こす因子としては、温熱環境やダニ、カビ、騒音、照明など化学物質以外の関与も指摘されているため、何をもってシックハウス症候群とするのか、指針値をわずかにでも上回った場合は化学物質が原因であると判断するべきなのか、慎重かつ総合的な検討が必要とされています。
ですので、診療に当たっては、患者をできる限り化学物質のないクリーンな環境(できればクリーンルーム)におき、症状の変化を確認していくことが大切です。 |