自分の歯のように噛むことができるインプラント治療は、ブリッジや入れ歯に違和感のある人にとって画期的な治療法です。対応する歯科医院も急増していますが、その反面、トラブルが多いのも現実。医師選びのポイントを知って、後悔しないインプラント治療を受けましょう。

自分の歯と同じように噛める・話せる画期的な治療法
インプラント治療は、失ってしまった歯の代わりに「人工歯根」をあごの骨に埋め込み、その上に「人工の歯」を装着する治療法です。インプラントは健康保険適用外の自由診療であるため、保険適用の入れ歯やブリッジなどよりも費用はかかるものの、自分の歯と同じように物を噛んだり、話したりすることができるようになることから、画期的な治療法として注目されています。
インプラント治療のメリットは、「自分の歯のように噛める・話せる」「健康な歯を痛めずに治療ができる」「見た目に違和感がない」などがあります。
例えばブリッジの場合は、抜けた歯の両隣の歯を削り、部分入れ歯の場合は、両隣の歯にクラスプ(入れ歯を安定させる針金)をかけるため健康な歯にも負担がかかります。
また、入れ歯やブリッジに違和感があり、物をしっかり噛んだり、話しづらいという人も少なくありません。歯を失って咀嚼(そしゃく)機能が衰えると、脳卒中や心筋梗塞になる危険性が高まるという報告もあり、しっかり噛めるようになるインプラント治療は、全身の健康維持にも有効だといわれています。

インプラント治療に適応しない人も
ブリッジや入れ歯が合わない人にとってメリットの多いインプラント治療ですが、残念ながらすべての人に適応するわけではありません。
例えば、1型糖尿病や心臓病、免疫不全、重症の骨粗しょう症などの疾患がある人、成長過程にある人、妊娠中の人など、インプラントが受けられないケースも少なくありません。
また、インプラントはあごの骨を削って埋め込むため、骨が薄い・もろいといったあごの骨の問題や歯槽神経の位置などもインプラントに適応するかどうかの判断基準となり、ケースによっては適応外となります。
インプラントの耐久期間は約10年
もう一つ、インプラントで誤解が多いのが耐久期間についてです。インプラントは一度埋め込むと一生もつものと思われがちですが、実は天然歯以上に汚れに敏感。耐久期間は10年〜20年ほどといわれています。
それも正しいメンテナンスを定期的に行った場合で、普段のケアを怠るともっと短い期間しかもたず、最悪の場合は撤去を余儀なくされることもあります。
こうしたインプラントのデメリットの部分もよく知っておかないと、治療を受けたあとで「こんなはずではなかった」と後悔することになってしまいます。
山下 修 医師からのアドバイス
インプラント治療は、非常に高度な技術が必要で医師の力量の差が多くのトラブルを招いています。また、患者さんの誤解も多く、メンテナンスを怠ってしまったために、インプラントが長持ちせず、撤去せざるを得ないようなケースもあります。インプラント治療を受ける際は、まず治療記録をしっかりとっているかどうか、歯周病やインプラント後のメンテナンスに力を入れている医師かどうかを確認することはとても大切です。お口は全身の健康を左右します。衛生管理などにもしっかり取り組んでいる歯科医院なら安心できると思います。
<山下修医師のプロフィール>1979年神奈川歯科大学卒業。同歯周病学教室入室、現在非常勤。82年山下歯科医院開院。ドイツインプラント学会指導医試験、専門医試験、その他資格合格、学会発表多数。