乳幼児の患者数は、ワクチンが普及したこともあって近年は大きく増加することもなく落ち着いています。これに代わって急増しているのが、大人の感染です。大人の患者が目立ち始めたのは2002年頃から。2007年には大人の患者数が全患者の31%を占めるまで伸び、感染者が200人を超えるような集団感染も発生しました。国の百日咳に関する調査事業はあくまで小児を対象にしたものですから、実際はもっと多くの大人の患者がいるものと思われます。
百日咳ワクチンの効果が持続するのは5〜10年程度で、大人が感染するのは子どもの時に受けたワクチンの効果が薄れたためと考えられています。やっかいなのは大人はさほど重症化することもなく、長く咳が続く程度で回復してしまう点です。2週間以上咳が続いている人の約2割が実は百日咳患者だったというデータもあります。このため自分では気付かずに周囲に百日咳菌をまき散らす「感染源」になっていることも少なくないのです。家族などに百日咳ワクチンを打ったことがない6か月未満の乳幼児がいたとしたら、ひとたまりもありません。
子どもの場合は百日咳ワクチンの接種で感染を予防することができます。日本では、百日咳・破傷風・ジフテリアが一緒になった三種混合ワクチン(DPT)の定期予防接種(市区町村が接種費用の全額または一部を負担)が実施されています。生後3か月から接種可能ですので、早めの接種をお勧めします。
大人の場合、何よりも重要なのが、重症化の危険性が高い乳幼児にうつさないことです。ですから咳が2週間以上続くような場合は、速やかに医療機関を受診して下さい。血液検査も診断に役立ちます。
百日咳にかかった場合は、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどの抗菌薬を投与しますが、これらは初期(カタル期)の段階から飲み始めた方が効果が高いといわれていますので、早めの受診は早期回復にもつながりますよ。
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