
出産といえば、誰もが知っているのが出生率(期間合計特殊出生率)低下の問題。人口の自然増と自然減の境目は2.08とされていますが、日本では年々出生率が低下し、2005年で1.25となっています。すなわち、少子高齢化への道、一直線です。
実際なぜ、これだけ出生率が下がっているのかと考えると、たとえば女性の社会進出が原因の一つとして挙げられます。
女性の社会進出に関してのデータとしては、まず大学卒業後の就職率があります。厚生労働省・文部科学省「大学等卒業予定者就職内定状況等調査」によれば2004年3月卒業生ではじめて女性(93.2%)が男性(93.0%)の就職率を上回りました。就職率は調査の仕方によってさまざまなデータがありますが、近年は概ね女性の方が上回っています。
続いて、出産年齢の上昇です。表1を見ると、20代女性の出産が大幅に減少しているのが分かります。女性の社会進出と晩婚化、高齢出産、それぞれ密接に関わり、相互に因果関係があると思いますが、結果的に20代女性は出産よりも仕事を選んでいるという傾向がうかがえます。
表1:母親の年齢別出生数の推移
出産年齢
 |
1970年 |
75 |
80 |
85 |
90 |
95 |
2000 |
04 |
| 15-19 |
20,165 |
15,990 |
14,576 |
17,854 |
17,478 |
16,075 |
19,729 |
18,546 |
| 20-24 |
513,172 |
479,041 |
296,854 |
247,341 |
191,859 |
193,514 |
161,361 |
136,486 |
| 25-29 |
951,246 |
1,014,624 |
810,204 |
682,885 |
550,994 |
492,714 |
470,833 |
370,220 |
| 30-34 |
358,375 |
320,060 |
388,935 |
381,466 |
356,026 |
371,773 |
396,901 |
415,903 |
| 35-39 |
80,581 |
62,663 |
59,127 |
93,501 |
92,337 |
100,053 |
126,409 |
150,222 |
| 40-44 |
9,860 |
8,727 |
6,911 |
8,224 |
12,587 |
12,472 |
14,848 |
18,790 |
| 45-49 |
523 |
312 |
257 |
244 |
224 |
414 |
396 |
483 |
一方で、30代以上の女性の出産は増えています。これには医療の質向上が大きな影響を与えていると考えられます。

若い世代でのモラル低下の一例として、ときどき挙げられるのが、安易な人工妊娠中絶。しかし、これは事実なのでしょうか?
実際に統計を確認すると、人工妊娠中絶の総数は年々低下しています。もちろん中絶理由はさまざまですので、一概には言えませんが、昔は母体の安全のために中絶せざるをえなかったと考えられます。おそらく医療レベルの向上にともなって、そういった理由による中絶が減少してきたのでしょう。
また 年齢別に見ても、ほぼ全ての年代で減少の一途をたどっています。ただし、表2を見ると分かるとおり、20歳未満での数字だけが唯一増加し続けているのです。
おそらく社会問題となっているのは、このデータに現れている部分だと思われます。表1の出産数と比較すると、10代女性では出産するよりも中絶する人の方が多い、ということになります。とはいえ、その状況は1985年ごろから続いていますので、「最近の若者は・・・」とは言えない気がしますけど。
表2:人工妊娠中絶数の推移
年齢
 |
1970年 |
75 |
80 |
85 |
90 |
95 |
2000 |
01 |
| 総数 |
732,033 |
671,597 |
598,084 |
550,127 |
456,797 |
343,024 |
341,146 |
341,588 |
| 20歳未満 |
14,314 |
12,123 |
19,048 |
28,038 |
32,431 |
26,117 |
44,477 |
46,511 |
|